英単語が覚えられない・すぐ忘れる原因と対策|1か月後も8〜9割残る覚え方
英単語をすぐ忘れるのは記憶力ではなく覚え方の問題です。思い出す練習と日を空けた復習に変えると、1週間〜1か月あけても8〜9割を思い出せます。原因、研究、1日の量、今日からの手順をまとめました。
公開日 著者 Tomaru読了目安 12 分
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英単語がすぐ抜けるのは、記憶力ではなく覚え方の問題です。答えを見ずに思い出す練習と、日を空けた復習に切り替えると、1週間〜1か月あけても8〜9割の単語を思い出せます(Tomaru の匿名学習データ)。
- 読み返す・書き写すは、答えを見ながらの作業です。実験では、4回読み返した人は1週間後に40%、1回読んで3回思い出した人は61%を覚えていました。
- 効くのは「思い出す」と「間隔を空ける」の組み合わせです。317件の実験をまとめた分析では、日を分けて学んだ場合の正答率が47.3%、一度にまとめて学んだ場合は36.7%でした。
- 最初の復習は翌日に入れます。初めて見て知らなかった単語は、翌日に復習すると約6割を思い出せますが、1週間放置すると半分以下になります。
一枚の表で見る:よくある覚え方と、その効果
| やり方 | 何が起きるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 単語帳を何度も読み返す | 直後は覚えた気がするが、1週間後に残る量は少ない | Roediger & Karpicke(2006) |
| ノートに何度も書き写す | 答えを見ながらの作業なので、思い出す練習にならない | 読み返しと同じ理由 |
| 1日で一気に覚える | 同じ時間を使っても、日を分けたほうが残る | Cepeda ほか(2006) |
| 答えを隠して思い出す | 1週間後に覚えている量が大きく増える | Karpicke & Roediger(2008) |
| 翌日に1回目の復習をする | 初めて見て知らなかった単語の約6割を思い出せる(1週間放置すると半分以下) | Tomaru の匿名学習データ |
なぜ英単語をすぐ忘れるのか
覚えたばかりの単語は、最初の1日でいちばん速く抜けていき、その後は忘れ方がゆるやかになります。これは心理学者エビングハウスが1885年に示した「忘却曲線」の形で、2015年にアムステルダム大学の研究者が同じ実験をやり直したときも、ほぼ同じ形になりました(Murre & Dros, 2015)。
「1日後に70%忘れる」は誤解です
ネットでよく見る「人は1日で約7割を忘れる」は、エビングハウスの数字の読み違いです。彼が測ったのは「どれだけ覚えているか」ではなく、「一度覚えたリストを覚え直すとき、最初の手間をどれだけ節約できたか(節約率)」でした。1日後の節約率33.7%は「覚え直す手間が3分の1ほど少なくて済んだ」という意味で、「3割しか覚えていない」という意味ではありません。しかも覚えたのは意味のないつづり(無意味綴り)で、英単語の記憶をそのまま表した数字でもありません。
実際に何が起きているか
英単語がすぐ抜ける人の多くは、次のどれかに当てはまります。
- 答えを見て「わかった」と感じて終わっている。 見て知っている感覚と、何も見ずに思い出せることは別物です。実験でも、読み返した人ほど自分の記憶に自信を持つ一方で、1週間後の成績は低くなりました(Roediger & Karpicke, 2006)。単語の実験では、学生が予想した自分の成績と実際の成績のあいだに関係が見られませんでした(Karpicke & Roediger, 2008)。
- 1日に詰め込んで、そのあと間が空きすぎている。 同じ単語に次に会うのが何週間も先だと、その間に抜けてしまいます。
- 同じ単語帳を最初から全部回している。 単語によって覚えにくさはまったく違います。すでに覚えた単語にもまだ覚えていない単語にも同じ時間を使うと、抜けやすい単語の復習が足りなくなります。
書く・読み返すが効きにくい理由
大学生が短い文章を覚える実験で、4回読み返したグループは1週間後に40%を覚えていたのに対し、1回読んで3回思い出す練習をしたグループは61%を覚えていました。ところが読んだ5分後のテストでは、読み返したグループのほうが点数は高かったのです(Roediger & Karpicke, 2006)。読み返しが効いているように感じるのは、この「直後の手応え」のせいです。
教科書の章や科学雑誌の記事を使った4つの実験でも、読んだ直後にもう一度読むことで、テストの成績はほとんど上がりませんでした(Callender & McDaniel, 2009)。心理学者が10種類のよくある勉強法を評価したレビューでは、読み返しとマーカー引きは「効果が低い」に分類され、練習テストに切り替えることが勧められています(Dunlosky ほか, 2013)。
見本を見ながら書き写すのも、答えが目の前にあるという点では読み返しと同じです。スペルを書けるようにしたいときは、先に答えを隠して思い出し、そのあと書いて確かめます。
効く方法:思い出す+間隔を空ける
答えを見る前に、自分で思い出す
40組のスワヒリ語と英語の単語ペアを覚える実験では、正解できた単語をその後もテストし続けた条件では、1週間後に約8割を覚えていました。正解した単語はもうテストしない条件では、33〜36%にとどまりました。正解したあとに何度読み直しても、ほとんど効果はありませんでした(Karpicke & Roediger, 2008)。
思い出せなかったときは、すぐに正解を見ます。外国語の単語を覚える実験では、間違えたあとに正解を見せた場合、1週間後に覚えていた量が、正解を見せなかった場合より大きく増えました(Pashler ほか, 2005)。
一度にまとめず、日を分ける
184本の論文、317件の実験をまとめた分析では、同じ学習量を何回かに分けた場合の平均正答率は47.3%、一度にまとめた場合は36.7%でした。比べられた271組のうち、効果がなかったか逆だったのは12組だけです(Cepeda ほか, 2006)。
外国語の学習でも同じです。48件の実験(学習者のべ3,411人)をまとめた分析では、間隔を空けた練習の効果は「中〜大」で、テストまでの期間が長いほど長めの間隔が有利でした(Kim & Webb, 2022)。日本の学習者が英単語を覚えた実験では、同じ練習の中で1つの単語を5回・7回思い出したほうが、1回・3回より成績がよく、2週間以上あとのテストでも同じでした(Nakata, 2017)。かかった時間あたりでは1回思い出すのが最も効率的だったので、同じ日に何度も繰り返すより、別の日に分けて思い出すほうが得だと私たちは考えています。
心理学者による10種類の勉強法のレビューで「効果が高い」と評価されたのは、練習テスト(思い出す練習)と分散学習(間隔を空けた学習)の2つだけでした(Dunlosky ほか, 2013)。
復習はどれくらい空ければいい?
答えは「いつまで覚えておきたいか」で変わります。1,354人が雑学の知識を覚えた研究では、7日後にテストする場合は1日、35日後なら約11日、70日後や1年後なら約3週間あけて復習したときに、最もよく覚えていました。最適な間隔を選ぶと、同じ日にすぐ復習した場合より最終的に約64%多く思い出せました(Cepeda ほか, 2008)。
間隔を毎回同じにするか、だんだん長くするかについては、29件の研究をまとめた分析で、はっきりした差は見られませんでした(Latimier ほか, 2021)。日本の大学生が英単語を覚えた実験でも、間隔の組み方より、間隔を空けるかどうかの影響のほうがずっと大きく出ています(Nakata, 2015)。初めて覚えるときも復習するときも長めの間隔を取った組み合わせが、長期の記憶と効率の両方で最もよい結果でした(Nakata, Suzuki & He, 2023)。
よく見る「翌日・3日後・1週間後」という日程は、覚えやすいように作られた目安です。大事なのは、思い出せた単語は次の間隔を長くし、思い出せなかった単語は早めに復習し直すことです。
Tomaru の実データ:やり方を変えると、どれくらい残るか
単語アプリ Tomaru は、思い出せた単語ほど次に出すまでの間隔を長くし、思い出せなかった単語は早めに出し直します。そのやり方で実際に復習した結果です。
1週間〜1か月あけても、8〜9割を思い出せる
翌日の復習では約8割、1週間〜1か月あけた復習でも8〜9割の単語を思い出せています。思い出せるうちに次の復習を入れていけば、間隔を広げても忘れずに残せる、ということです。
最初の復習を翌日に入れるかどうかで、大きく変わる
初めて見たときに知らなかった単語は、翌日に復習すれば約6割を思い出せますが、1週間放置してから復習すると半分以下に下がります。同じ単語でも、最初の1回を翌日に入れるかどうかでこれだけ差が出ます。
データの出典:Tomaru の匿名学習データ(2026年)
1日何語、何日かかる?
1日に100語を「一度見る」ことはできます。ただ、新しい単語はそのあとも何度か復習が必要です。1日100語を2週間続けると、1,400語ぶんの復習があとに積み上がります。続けられる量で毎日進めるほうが、結果的に多く残ります。1日20語なら、1週間で140語です。
単語帳の語数を1日の新しい単語数で割ると、新しい単語を一度ずつ学習するまでの日数がわかります。
| 単語帳 | 語数 | 1日20語 | 1日30語 |
|---|---|---|---|
| 英検準2級 | 1,500語 | 75日 | 50日 |
| 英検2級 | 1,500語 | 75日 | 50日 |
| 高校英単語 | 4,504語 | 226日 | 151日 |
| 大学受験英単語 | 6,200語 | 310日 | 207日 |
実際の毎日は「新しい単語+前の単語の復習」になるので、試験日から逆算するときは、最後の1〜2週間は新しい単語を入れず復習だけにしておきます。英検の級ごとの目安語数は英検の単語数の記事に、高校で習う単語の数は高校英単語の記事にまとめています。
今日からできる手順
- 単語帳を1冊に決める。 受ける試験や目標に合ったものを選び、語数を確認します。
- 1日の新しい単語数を決める。 語数を「試験までの日数-最後の1〜2週間」で割ります。目安がなければ1日20語から。
- 答えを隠して、先に思い出す。 英単語を見て意味を言う、または意味を見て英単語を言う。数秒考えて出てこなければ、すぐ答えを見ます。
- 翌日に必ず1回目の復習をする。 新しい単語より先に、前日の単語を思い出します。
- 思い出せた単語は間隔を伸ばし、思い出せなかった単語は早めに復習し直す。 全部を同じ間隔で回さないことが、時間を節約するいちばんの近道です。
- 忙しい日は復習だけでいい。 新しい単語は余裕のある日に回します。
Tomaru で同じことをする場合
手順の5番目を紙の単語帳で続けるのは、単語が数百を超えると大変です。単語アプリ Tomaru は、これを単語ごとに自動で行います。試験日を入れると1日の新しい単語数と目安の時間を出し、試験の数日前には新しい単語が終わって復習だけになるように組みます。始めた翌日には「昨日の○語のうち○語を覚えていた」と結果が出ます。時間がない日は5分・10分・15分から選ぶと、その時間でいちばん復習すべき単語を並べます。単語学習の基本機能はずっと無料、広告なしです。高校英単語(4,504語)や英検5級〜1級の単語帳がそのまま使えます。
よくある質問
なぜ英単語が覚えられないのですか?
多くの場合、覚え方の問題です。読み返す・書き写すは答えを見ながらの作業で、思い出す練習になりません。大学生の実験では、4回読み返した人は1週間後に40%、1回読んで3回思い出した人は61%を覚えていました(Roediger & Karpicke, 2006)。答えを隠して思い出し、日を分けて復習するやり方に変えると、1週間〜1か月あけても8〜9割を思い出せます(Tomaru の匿名学習データ)。
覚えた英単語は1日でどれくらい忘れますか?「1日で70%忘れる」は本当?
「1日で約7割忘れる」は、エビングハウスの「節約率」(覚え直すときに節約できた手間の割合、1日後33.7%)を「覚えている割合」と取り違えたものです。Tomaru の匿名学習データでは、翌日の復習で約8割を思い出せています。ただし初めて見て知らなかった単語は、翌日に復習して約6割、1週間放置すると半分以下です。
何回復習すれば英単語は定着しますか?
何回と決めるより、思い出せなくなる前に次の復習を入れるほうが確実です。単語によって覚えにくさは大きく違うので、すぐ定着する単語もあれば、何度か復習し直す必要がある単語もあります。思い出せた単語は間隔を伸ばし、思い出せなかった単語は早めに出し直せば、1週間〜1か月あけても8〜9割を保てます。
1日に英単語を100個覚えることはできますか?
一度目を通すことはできますが、それぞれの単語にはそのあと何度か復習が必要です。1日100語を2週間続けると、1,400語ぶんの復習があとに積み上がります。続けられる量で毎日進めるほうが、多く残ります。
1週間で英単語は何個覚えられますか?
1日20語なら1週間で140語です。週末にまとめて覚えるより、1日10分でも毎日分けたほうが残ります。317件の実験をまとめた分析では、日を分けて学んだ場合の正答率47.3%に対し、一度にまとめた場合は36.7%でした(Cepeda ほか, 2006)。
大人になってからでも英単語は覚えられますか?
覚えられます。この記事で紹介した方法の効果は、大人を対象にした研究で確かめられています。復習の間隔を調べた研究の参加者は平均34歳の1,354人でした(Cepeda ほか, 2008)。英単語の間隔学習の実験は日本の大学生が対象です(Nakata, 2015)。仕事で時間が少ない人ほど、1日5〜10分でも毎日分けて思い出すやり方が向いています。
英単語は書いて覚えるのは意味がないですか?
意味がないわけではありません。ただ、見本を見ながら何度も書き写すと、答えが目の前にあるので思い出す練習になりにくくなります。読み返しについては、読んだ直後にもう一度読んでもテストの成績はほとんど上がらないことが4つの実験で確かめられています(Callender & McDaniel, 2009)。スペルを覚えたい場合は、先に答えを隠して思い出し、そのあと書いて確かめましょう。
英単語の最強の覚え方は?
研究で一貫して効果が高いのは、答えを見ずに思い出す練習と、日を分けた復習の2つです。10種類の勉強法を評価したレビューでも「効果が高い」はこの2つだけでした(Dunlosky ほか, 2013)。思い出せた単語は次の間隔を長くし、思い出せなかった単語は早めに復習し直します。間隔を毎回同じにするか、だんだん長くするかは、大きな差がないことがわかっています(Latimier ほか, 2021)。
参考文献
- Callender, A. A., & McDaniel, M. A. (2009). The limited benefits of rereading educational texts. *Contemporary Educational Psychology*, 34(1), 30–41. https://doi.org/10.1016/j.cedpsych.2008.07.001
- Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. *Psychological Bulletin*, 132(3), 354–380. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
- Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. *Psychological Science*, 19(11), 1095–1102. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. *Psychological Science in the Public Interest*, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
- Ebbinghaus, H. (1885). *Über das Gedächtnis*. Duncker & Humblot.(2013年の再掲:https://doi.org/10.5214/ans.0972.7531.200408 )
- Karpicke, J. D., & Roediger, H. L., III (2008). The critical importance of retrieval for learning. *Science*, 319(5865), 966–968. https://doi.org/10.1126/science.1152408
- Kim, S. K., & Webb, S. (2022). The effects of spaced practice on second language learning: A meta-analysis. *Language Learning*, 72(1), 269–319. https://doi.org/10.1111/lang.12479
- Latimier, A., Peyre, H., & Ramus, F. (2021). A meta-analytic review of the benefit of spacing out retrieval practice episodes on retention. *Educational Psychology Review*, 33(3), 959–987. https://doi.org/10.1007/s10648-020-09572-8
- Murre, J. M. J., & Dros, J. (2015). Replication and analysis of Ebbinghaus' forgetting curve. *PLOS ONE*, 10(7), e0120644. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0120644
- Nakata, T. (2015). Effects of expanding and equal spacing on second language vocabulary learning. *Studies in Second Language Acquisition*, 37(4), 677–711. https://doi.org/10.1017/S0272263114000825
- Nakata, T. (2017). Does repeated practice make perfect? *Studies in Second Language Acquisition*, 39(4), 653–679. https://doi.org/10.1017/S0272263116000280
- Nakata, T., Suzuki, Y., & He, X. (2023). Costs and benefits of spacing for second language vocabulary learning. *Language Learning*, 73(3), 799–834. https://doi.org/10.1111/lang.12553
- Pashler, H., Cepeda, N. J., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2005). When does feedback facilitate learning of words? *Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition*, 31(1), 3–8. https://doi.org/10.1037/0278-7393.31.1.3
- Roediger, H. L., III, & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. *Psychological Science*, 17(3), 249–255. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x
著者:Tomaru 開発チーム。
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